多数の重症患者を抱える医療機関で、ひとたび大災害が起これば、命にかかわる重大なインシデントも起こりかねません。医療機関におけるBCPの基本方針は、①寸断なく医療提供を行うこと、②人命を最大限優先すること、③災害拠点病院として地域の医療提供の核となること、の3点が挙げられます

 

2017年に、厚生労働省は、災害時に24時間体制で傷病者を受け入れる「災害拠点病院」に対し、被災しても速やかに機能を回復し、診療を続けるためのBCP策定を義務化しました。

 

このBCPは、被災した病院の損傷を最小限に抑え、または早期に回復し、被災者の診療に当たるための事前の備えや対応を盛り込んだマニュアルです。さらに、BCPに基づく研修や訓練の実施も指定要件としており、既存の災害拠点病院は2019年3月までに策定することを前提に指定を継続できるとしています。

 

多くの医療機関では、初動対応をまとめたマニュアルを作成していますが、BCPはさらに実践的かつ具体的な内容が求められます。例えば、震度6弱以上で職員参集するだけでは交通の遮断時には対応できない場合、BCPでは近隣に職員を住まわせる、自転車など移動手段の確保、といった具体策が必要になります。また、医薬品やガス、酸素などの備蓄やライフラインの確保、病棟の安全性評価の仕組みなども必要で、計画の項目は多岐にわたっています。厚労省は、策定のための研修会開催など積極的に推進しています。

 

九州を例にとってみると、福岡県が災害拠点病院の指定が30と最も多いものの、すべてで策定済みとはいえない状況のようです。医療指導課はとしての見解としては、医療機関は内容が幅広く部署間の調整も必要なためBCP策定が難しいので、参考となる病院のBCPを提供するなどして支援をしていきたい考えです。