ある精密器機製造会社の、ユニークで参考になるBCP・BCMの取り組みをご紹介いたします。同社は“災害に強いヒトを育てる”というコンセプトのもと、従業員の訓練を重視しています。

 

  • 全従業員が防災訓練を反復

大きな地震災害などの緊急事態では、人は気が動転してしまい、考えて行動できないものです。ですから、建物などのハードウエアとともに“災害に強い従業員体質”が大切であり、ふだんから実際に体を動かして覚える訓練を重視しています。10年ほど前から、徹底した“緊急避難技術”を体得することを目指してきました。それは形式的な避難訓練ではなく「緊急地震速報システムを使った理想的な避難方法は何か?」を徹底的に研究し、加震装置での実験も行い見つけ出した避難方法で、全従業員が徹底的に繰り返し練習しました。日頃の訓練の結果、東日本大震災では全社的に、速やかに安全な場所へ避難するとともに、外来者を適切に避難誘導でき、成果を実感することができました。

 

  • 直下型地震を想定した訓練

さらに同時期から、緊急地震速報システムが機能しにくい直下型地震を想定した訓練を行ってきました。このケースでも加震装置を用いた実験を繰り返し、その場で耐えるにはどのような姿勢が最も適しているのかを明確に導き出しました。三次元で直下型地震を再現できる起震車を使い、全従業員がこの避難姿勢を体験したことは、ふだんから自分の周りにある危険について注意喚起する機会となりました。

 

  • 災害対策シミュレーション訓練

災害対策要員はさらに多くの訓練を積み重ね、地震の際の初動活動に活躍する準備をしています。救急救命法の講師資格を持つ社員による救急救命訓練や消火訓練、災害時初動訓練を定期的に行っています。本社の建物内にある独身寮には災害対策要員が居住し、いざという時にいち早くかけつける体制を整えています。これら訓練の成果は、毎年行う災害対策シミュレーション訓練で評価し、さらなる改善につなげていきます。東日本大震災時には、被害確認活動、帰宅困難者の宿泊準備、社有車を使って従業員を自宅まで送り届ける行動を率先して行いました。ほかにも、従業員の救命技能習得を推進し、全社をあげて防災への対策を行なっている姿勢は見習いたいものです。