職場や学校、移動中の電車の中など、外出先で大規模な地震が発生した場合、「一刻も早く家族のもとへと駆けつけたい」「自分の家へ帰りたい」と、多くの人が思うことでしょう。

 

ですが、とるべき行動はそうではありません。内閣府(防災担当)のガイドラインは、「むやみに移動を開始しない」ということを基本原則に「一斉帰宅の抑制」を求めており、「施設内待機」に重きを置いています。

 

それはなぜでしょうか。その理由と重要性、準備しておくことについて、考えてみましょう。

 

■施設内待機の理由と重要性

 

大規模な地震が発生した場合、まず第一に優先すべきは人命救助、消火活動、それに伴う緊急輸送活動です。交通機関が運行不能となり、帰宅困難となった人々が一斉に歩いて帰ろうとすると、道に人が溢れ、それが緊急車両の通行の妨げとなり、応急活動を迅速・円滑に行うことができなくなってしまいます。

 

地震の被害を最小限に食い止めるためには、緊急車両の通行を確保することが非常に重要です。それだけでなく、地震直後に歩いて移動することは、余震による落下物等で怪我をしたり、非常事態に乗じた暴漢等に襲われるなどの危険性があります。

 

国民の一人ひとりが、「帰宅困難者となっても、むやみに移動を開始しない」という基本原則を知り、施設内で待機することの重要性を理解しておかなければなりません。企業や学校、自治体等、あらゆる組織は、施設内待機に対応できるよう、十分な準備をしておく義務があります。

 

■施設内待機のために準備しておくこと

 

  1. 施設内待機のための具体的な対策をたて、従業員等に周知させる

 

  1. 施設内待機のための備蓄品の確保と分散

備蓄品の必要量の目安は3日分ですが、外部の帰宅困難者にも対応できるよう10%程度多めに用意することを検討してください。災害時には破損物が床に散乱します。厚底の歩きやすい靴を従業員等が各々用意しておくことも必要です。

 

  1. 安否確認方法を決めておく

「企業と従業員の間における安否確認方法」と「従業員とその家族の間における安否確認方法」を、職場と家庭内とでそれぞれ話し合って決めておくこと。

 

  1. 安否確認がとれない場合の集合場所を決めておく

 

  1. 一時滞在施設等の確認

自らの施設が破損したり、周辺が安全でない場合は、一時滞在施設等で待機するようにします。帰宅困難者を対象とした一時滞在施設がどこにあるか、道順や移動にかかる時間など、1箇所だけでなく複数確認しておきましょう。

 

  1. 帰宅再開時のルールを決めておく

一斉に帰宅させるのではなく、帰宅が集中しないよう、帰宅者の優先順位や時間帯などを設定しておきます。

 

■まとめ

 

一斉帰宅を抑制し、従業員等が各々の施設(職場)で待機することができれば、企業等における継続可能なサービスが保持され、そのぶん速やかな事業再開にもつながります。

 

自宅に帰ることのできない不安を少しでも軽減させるために、帰宅困難者となった場合にどのように行動するのか、一人ひとりが家族や近親者と具体的にしっかり話し合い、明確に決めておくことが大切です。