災害が発生したとき、被災していない地域にお住まいの方が一番に考えることが、募金や支援物資のことではないでしょうか。事情があり現地に駆けつけることができない。でも、何か役に立ちたい。

 

そんな助け合いの心で、支援物資を送る方が非常に多く、それこそ美徳と言えるものです。 ところが、その助け合いの象徴である支援物資をめぐり、現場ではさまざまな問題が起きているのです。今回は、いくつかの問題のうちの一つ、「支援物資供給問題」について取り上げました。

 

■支援物資の供給方法には、「プル型」と「プッシュ型」がある

 

「プル型」は、ニーズが把握できた避難所で、その避難所の必要としている支援物資を供給するシステムです。ニーズに的確に合わせて物資を供給できるメリットがある反面、ニーズを把握するのに時間を要するため、物資の供給が遅れるというデメリットがあります。

 

一方「プッシュ型」は、ニーズが把握できない被災地に、そのニーズを予測して物資を供給するシステムです。迅速に物資を供給できるメリットがありますが、デメリットは不要な物資がたくさん余ったり、本当に必要な物資が不足して困ったり、などがあります。

 

プッシュ型の支援供給システムは、東日本大震災以降に選択肢として加入しました。つまり東日本大震災では終始プル型での供給だったのです。ニーズを把握するために供給が遅れたことが問題に挙がったと考えられます。熊本地震の際には発生直後にはプル型、その後プッシュ型に一時以降し、再度プル型に戻りました。ここで具体的にどのような問題が生じたかというと、

 

・職員の被災によるマンパワー不足

・ニーズ把握の遅延

・交通機関壊滅による輸送の遅延 などにより、支援物資供給システムが機能不全に陥りました。

 

このように、支援物資供給システムをプル型にするか、プッシュ型にするかの判断は、被災者に大きな影響を与えるため、自治体には慎重かつ的確な判断が求められます。

 

■避難所にいるのに支援物資が届かない?

 

先の熊本地震において、もっとも避難者の多かった本震翌日の4月17日に、約3万6千人の避難者が「指定外避難所」に避難していたことが分かりました。「指定外避難所」とは、ある安全な場所に多くの避難者が集まることで自然発生的に避難所と化したものであり、自治体の地域防災計画に定められていませんでした。

 

熊本県内の少なくとも7市町村に約185か所あったそうです。自治体が指定外避難所のことを把握できていなかったために、物資支援の供給ができない、被災者の安否確認に影響が出るなどの問題が生じ、混乱を招きました。指定外避難所に避難した人に理由を聞き取り調査したところ、

 

・指定避難所の被災・損壊

・ペットがいたので迷惑と思った

・指定避難所の場所が分からなかった

・指定避難所が遠かったので行けなかった などの理由が挙げられました。

 

ここで、指定避難所の周知が不十分だったこと、指定外避難所と化したところを自治体がどう把握すべきか、ペット同伴の避難に関する問題、避難所に行く前に道路が損壊した場合の対処などの問題が浮き彫りとなりました。

 

そこで被災者やボランティアで活用したのがSNSです。熊本地震のみならず、今回直近で発生した北海道地震に関しても、Twitterやfacebookでの支援物資の依頼が発信され、心あるボランティアの方々の協力により、指定外避難所に避難している被災者にも支援物資の供給を呼びかける動きが見られました。

 

しかし、せっかく支援物資が届いても、指定避難所への支援物資供給が優先されてしまうため、指定外避難所にいる被災者にはなかなか届かないという問題も発生しました。

 

■まとめ

 

物資支援システムは、その状況により適切な使い分けが必要で、特に震災発生後初期にはとにかく必要と思われる物資をランダムに迅速に供給するべきと思われます。支援物資の供給のためには人の手が欠かせません。

 

自治体では、人材確保と、人材が被災した場合の対処についてもしっかり対策を練る必要があります。また、指定外避難所へ避難した、自宅や車に避難して生活している被災者への支援方法について、対策はあるものの現実には機能不十分の状況です。

 

こういった状況を改善するには、自治体のみならず市民の対策も十分になされなければなりません。過去の震災の事例を今一度国民全体で確認しあい、いざというときは近隣の人たちとの協力が必要となるため、日常からの近隣ネットワークを強固にしていく必要があります。近隣との関係性が希薄の現代で、どう取り組んでいくか、一人ひとり考えていかなくてはなりません。