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深刻!避難所のトイレの確保と管理

災害関連のニュースでは、被災者の現在について相次いで報道されます。その中でもよく聞く言葉が「食料」「水」「肺塞栓症」など。命に係わる重要な事項は特に強調して報道され、私たち視聴者側にも「ああ、被災したらこんなことで困るんだな」という印象を強く与えてくれます。
何も困ることは食料や健康被害だけではありません。生活の中で私たちが必ずしている行為、それが「排泄」です。排泄という行為には、体内から老廃物を排出するという生命活動的意味合いからも重要であると同時に、プライバシーを保護する面からで軽視できない問題です。
また、トイレの衛生管理が滞ることにより、感染症が蔓延するリスクも孕んでいます。今回は、被災地のトイレ確保・管理についてお話します。
■被災地・避難所のトイレ確保の現実
先の東日本大震災においいては、仮設トイレが被災地に行き届くまでに早くて3日、遅いところだと65日以上かかったという報告が上がっています。大津波により交通機関が機能しなくなったことで物資支援も滞っていたのですが、仮設トイレも同様でした。
仮設トイレが届くまでどうしていたかというと、素掘りの簡易トイレを作ってしのいでいたそうです。また、トイレの数が圧倒的に少なく、地震発生からわずか3日でトイレが排泄物の山になったところもあり、衛生上非常に劣悪な環境で生活せざるを得なかったとのことでした。
また、衛生上の問題はもちろんのこと、トイレに関してはその他さまざまな問題がありました。
・トイレの設置場所が暗い
・仮設トイレのほとんどが和式トイレのため、特に足腰が悪い高齢者や妊婦が使いづらい
・悪臭がひどい
・男女兼用のところがほとんどで、プライバシーの保護が困難、また性犯罪が発生しやすい
・小さい子ども用のトイレがなく使いづらい
・寒い など
トイレの環境が暗い・汚い状態だと、特に女性や子どもは時に恐怖を感じることがあり、怖くて使えないと感じることがあります。ただでさえトイレという空間は、普段はしっかり保護している部分を晒さざるを得ない場所です。
衛生管理が不十分な屋外のトイレ(例えば虫が入ってきたり、床や便器が泥で汚れていたり)は、平常時できれば使いたくないものです。トイレを使いたくないが故に水分摂取をセーブした結果、肺塞栓症や心筋梗塞・脳梗塞などを発症し、命に関わるケースもありました。
■災害時のトイレ確保への取り組み
災害時には、単純にトイレが確保できなくなるだけではなく、トイレの正常な機能を担う部分が破壊されることで、トイレそのものが機能しなくなることも問題視されています。
例えば
・断水や給水管破裂により、水が流せなくなる、手が洗えなくなる。
・停電により水洗トイレが使えなくなる。
・下水道・浄化槽の破損により汚水の排水が困難となる。
・し尿処理施設の破損により汲み取りトイレの環境保全が困難となる。
・浸水による汚水の逆流がおきる。
・便器などの破損により携帯トイレを使うことができなくなる。などの問題が発生します。
こうした事態に備え、一番しておくべきことは、市民一人ひとりが平常時より家庭でのトイレの備えをしておくことです。携帯トイレをたくさん備蓄しておく、家庭のトイレが破損した際に使える簡易型の便器を備えておく、視界を遮る用のカーテンなどを多く保管しておき、トイレ使用時に活用する、手回し充電ライトなどの灯りを確保しておき、夜間のトイレ使用に使うなどの方法があります。
猫のトイレ用の砂と新聞紙をバケツに入れ簡易トイレとして使用したケースもあるそうです。(これはとてもいいアイデアだと思います)衛生面の管理のためには、ウェットティッシュや手指消毒剤の備蓄をしておくことも重要です。
また、自治体単位での対策として、被災時に必要となるトイレの数を試算し、携帯トイレの備蓄やマンホールトイレの整備などを行う取り組みがなされています。しかし、大震災ともなると自治体が機能しなくなるので、やはり日頃から個人での備えが重要となってきます。
■まとめ
被災地におけるトイレ確保の現状は決して良いものではありません。自治体がそのように対応したところで、自治体が被災してしまうと機能しなくなるということを平常時より念頭に置き、個人や民間での対策を強化する必要があります。
トイレ事情は非常にデリケートな問題であるため、少しでも自力での対策をとり、健康被害の拡大や身の安全確保に努めていただきたいと存じます。
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