今回の豪雨災害において、被災地の水不足のニュースをみるにつけ、改めて水の大切さや水インフラについて考えさせられます。ふだん、蛇口をひねると当たり前のように出る水、噴水やイベントの演出などで惜しげもなく使われる水も、ひとたび災害が起き、水インフラの設備が崩壊してしまうと、被災地では飲用や洗濯などにも事欠く状況に陥り、被災者の苦労は計り知れません。

 

自然の猛威の前では成す術はないものの、インフラを多角的に研究し、積極的に取り組んでいるある企業を紹介します。システム開発に必要な下水処理設備のデータを常時収集し、クラウドに集積・解析することで、設備の緊急停止を防ぐ故障予知の技術開発に取り組んでいます。

上下水道や産業用のモーターの寿命は15~20年と比較的長いものの、なかには何らかの要因で短い期間で劣化または故障するケースがあります。温度変動や振動などが主な原因であることが多く、絶縁劣化によるモーター内での放電現象も見逃せない要因です。定期的に設備点検を行っていても、タイミングにより異常を検知できず不具合につながる場合もあります。それを防ぐために、設備に取り付けた電流センサーからリアルタイムで放電現象をキャッチし、AIで診断するシステムを開発している段階です。

しかし、温度や振動の数値は比較的容易にデータ解析しやすい反面、突発的に起こる放電現象がモーターに及ぼす影響を数値化し、データ解析してAI開発につなげるには多大な労力を要します。

 

AIはさまざまなビッグデータを収集し、統計学や機械学習などを活用できるシステムですが、異常データを集めるのは至難の技。下水処理設備はふつう正常に稼働しているので、実際の異常値をとる機会がないため、仮説を立て異常状態の模擬データを作成して実証実験を繰り返します。それだけに、長年にわたり実際にお客様の課題解決や現場の維持管理に従事してきた企業にしかできない開発だといえます。企業に蓄えられた技術とノウハウに加え、外部の大学や他の企業とも連携し、オープンイノベーションという考え方で開発速度を上げており、近い将来現実化すると期待されています。